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最近変だぞ、花粉症; 花粉症の話

花粉症001

 最近変だぞ、花粉症 その1.

花粉症の症状と原因の話

  •  花粉症になる人、ならない人
    • 花粉症の原因の話その1. 

      2010年09月16日

      鼻孔は、曲がりくねった熱帯雨林のような空気の通り道です。
      外の空気を、体温に近づけ、湿り気をもたせて、
      呼吸が楽にできるように調整します。

      鼻毛は、小刻みに揺れて、
      間違って入り込んだ異物をひっかけます。
      蚊のような大きな物や、胡椒、唐辛子など強烈な刺激物が
      珍入すれば、すぐさま、くしゃみで追い出します。

      傷ついたり、小さい異物が入り込むと、血管の網目が緩んで、
      ねばい液を浸出させ、リンパ球なども出動して応戦、修復します。

      これらは、誰でも自然な反応です。それでは、もっと小さい
      花粉のような物が、混入してきたら?

      気にせず、粘つけてホコリと一緒に固めて、
      鼻糞にして放り出したらいいのです。
      痰にして、吐いても、胃に流してもかまいません。
      ほっときゃ良いんです。

      ところが、放っておけない人は、くしゃみで警戒警報を発し、
      見回りの後、大した事ないと判断すると、
      主だった防衛軍は引き上げて、一部の免疫部隊が残って、
      いちいち 鼻水で洗い流します。
      これは、涙と同じ、さらっとした分泌物です。
      “水に流す”の解決法です。

      そんな方には、この季節、花粉は止めどもなくやって来ますので、
      スクランブル、警報解除、残務隊による
      過剰防衛”=花粉症、の繰り返しが、続きます。

      放っておけるか、放っておけず気にするかが、
      花粉症になるか、どうかの分かれ目です。

      スギ花粉が飛ぶのは、お昼をはさんで、2,3時間なのですが、
      暖かい日は、山側の上昇気流に舞い上げられ、
      都会の塵と一緒に降りてくるまで、
      距離と風速に応じて、花粉症の時間がずれます。

  •  花粉症もアレルギー?
    • 花粉症の原因の話 2.

      2010年09月16日

      アレルギーは何度か繰り返しますと、
      原因や犯人のモンタージュが作られます。
      さらに、何度も繰り返しますと、手配書が、配られます。

      次に、アレルギー源(花粉など) が、進入すると、
      移動あるいは、最寄りの 駐在所で
      手配書に基づき 照合し、現場判断、簡略対処が課されます。

      花粉症では、主に、クシャミと、
      ”水に流す” の対処法です。

      こうして、条件反射のような、アレルギーチャンネルが、
      “オン” 状態の 気道体質になりますと、
      それまで気にしなかった、
      その辺のホコリやチリまでが、大騒ぎの原因になります。

      鼻孔の天井に鼻の神経が集中しています。 
      一方、鼻の穴には、
      奥の方、食道との接合部の境目に扁桃腺があります。
      リンパ節の集合体で外界と耐えず接しています。
      鼻と口の進入部の前衛部隊、留置場付の警察署のようなもので
      ばい菌をここで、くい止め、いろんな治安情報を交換します。

      花粉症は、目や耳のかゆみと、大量の鼻水のはずですが、
      最近、顔全体のほっ赤、喉の不快感、声枯れの人も多くなりました。
      喘息のように、もう少し深いところでの
      他のアレルギー疾患の引き金となることもあります。

      まるで、花粉が重くなったように感じます。
      例えば、黄砂に花粉が引っ付いたり、
      大気中の浮遊物と結合して、凶暴になった、
      と言うようなことが起こっているのではないでしょうか?


 最近変だぞ、花粉症 その2. 

花粉症の予防方法の話

花粉症の予防方法 その1. 花粉症の季節はホットがいい、、、。

2010年09月23日

花粉症は、水分の取りすぎで増えたような気がします。

  • 花粉症は、水分の取りすぎで増えたような気がします。
    • 食事が豊かで、美味しい飲み物も、気軽に楽しめるようになると、
      高カロリー、高血糖になり、代謝には、多くの水分を必要とします。

      一般に、

      • 過剰に水分補給しがちで、
      • 汗をあまりかかず、
      • 運動エネルギー消費の少ない生活の結果、
        体内に水分の貯まりすぎで、花粉症が増えたような気がします。
        ある意味、文明病の一つと思えます。

       * 朝まぶたが腫れぼったい人、
       * 夕方ヒールが窮屈に感じる人、
       * 夜、靴下のゴムが当たる部分の皮膚がへこんでいる人、、、

      こんな方で 花粉症の人は、
      太陽が沈んでからは、果物も含め、水分を控えめにすること。

      特に寝る前の2時間は、今までの半分にすれば、
      花粉症は、ずいぶん違いますよ。

      そのためには、花粉症の時期、
       * 薄味にし、塩、糖分の取りすぎに注意。
        (共に後に、のどが渇きます。)
         特に、砂糖の代謝処理には、即時的に水分を要します。
       * 熱い飲み物にすると、がぶ飲みが出来ませんので、
         余程、水分摂取が少なくすみます。
       * お風呂は、ゆっくり入りましょう。
         スポーツと違い、睡眠前に余計な体の水分を取る,
         うってつけの習慣です。
       * 風呂上りのビールは、ひどい症状が終わるまで、お預け。
         風呂前に飲んでください。この季節だけでも。

      先に、鼻孔は、“曲がりくねった熱帯雨林”と、例えましたが、
      花粉症は、アスファルト道のスコール雨の状態です。

      この水分は、体のどこか から調達しているハズです。
      その余力を、減らしてやるのです。

      この考え方は、上半身の過剰水分を減らして、
      アレルギー性を低下させる工夫です。

      例えば単純に、4.5日に1度、昼間に漢方薬の,
      五苓散(ごれいさん)を飲んだり、
      就寝前に葛根湯(かっこんとう)を、共に温かいもので飲むと、
      朝の抗ヒスタミン薬が、
      もっと、良く効くようになることもありますよ。

      そして、この事が、花粉症、鼻炎の漢方薬が、
      メニエル病や、めまい、耳鳴り などにも、効くことのある理由です。
      共に、上半身の過剰水分が、症状悪化の原因と、
      見なされる場合の時には、、、です。

       (注意)
      血栓防止には、水分補給が大事です。
      脳梗塞予防のための水1杯は、話が別です。
      しかし、
      少なくとも、夜トイレに行く回数が増え,、
      睡眠を邪魔するようなら、これは、水分の取りすぎでしょう。

花粉症の予防方法 その2.その3. にっこり笑って、乾布摩擦。

2010年09月23日

気道、粘膜を鍛えよう。

  • 気道、粘膜を鍛えよう。
    • トイレは、我慢しないように。
      そして、水分の取る量を、減らした上で、
      今度は、もう少し 顔の表情を豊かにしてみてください。

      急に何でしたら、無人の場での、一人芝居で結構です。
      トイレの鏡の前で、怒ったり、泣いたり、笑ったり、
      危ない!と 口ぱくで、叫んだり、するのです。
      ときどき、nature's call(用足し)で なくても、
      トイレを 利用してください。用足し なのですから。

      これは、お顔のラジオ体操です。
      その次は、肺のラジオ体操です。

      息を吸って、深く吐いて、その状態で、
      両腕を交差させて、反対の肩をつかむ。
      息を吐いたまま、もう一度ゆっくり繰り返す。
      これが、肺のラジオ体操です。

      上半身の過剰水は、血流からだけでなく、
      リンパ管~細胞間質 でも、供給されると思います。

      そして、リンパの流れは、弁による一方通行で、
      血流に対する心臓のような、動力源がありませんので、
      リンパの周囲の筋肉運動に、大きく依存します。

      そこで、こんな運動をして、リンパの流れを改善するのです。
      ガムを噛むのも少しは役立ちます。
      鍼灸の先生なら、もっと的確な “つぼ”も利用されるでしょう。

      鼻炎は、始め、余計ひどくなるかも知れませんが、
      次第に、落ち着いてきます。 きっと。

      リンパの流れ改善は、免疫力制御にも有益でしょう。
      鼻炎薬や、漢方薬の効き目も、よくなりますヨ。

      この2種のラジオ体操の もう一つの 効用は、無意識に、
      あなたの自律神経を、
      自然に、幾分、“交感神経優位”に、傾けることです。

      アレルギーは、副交感神経優位の傾向を、感じるからです。

      はりきった気分になることが大事です。
      装うだけでも、かまいません。小さなことは 気にせず、さあ、
      さっそうと、普段の生活をこなしてください。

  • 花粉症の予防方法 その3. 3番目が、乾布摩擦です。
    • 入浴の時、お湯を浴びる前に、2、3分でけっこうです。
      乾いたタオルで、背中をこすります。
      腕と、太腿(ふともも) も ついでです。
      胸は、手でこすって、マッサージします。

      粘膜や気道を鍛えるため、血やリンパの流れを良くする訳ですが、
      減感作(げんかんさ)療法に、つながります。

      アレルギーをおこさない程度の、同じような刺激を繰り返し、
      鈍感にして、克服する、(ちょっと地道な、しかし確実な)
      方法です。

      見当はずれなところの刺激でも、体は充分、意図を理解し、
      刺激効果は、伝わるものです。

      粘膜強化のサプリメントも、あなたにあったものを、
      選んでください。

乾布摩擦の図

花粉症の予防方法 その4. してみマスク? 試してみマスク?

2010年09月26日

  • マスクをうまく使って、免疫力アップ、、。
    • 鼻孔の天井に鼻の神経が集中していますので、ここの乾燥は、
      曲者(くせもの)に思います。
      鼻炎の前兆に、感じることがあります。
      鼻の乾燥は、免疫抵抗力を落とします。
      ドライアイの人が、花粉症でかえって、
      ぐじゅぐじゅ の涙目になるのも、同じです

      本来、湿った組織、臓器は、乾燥に弱いのです。
      乾燥しない様、マスクをうまく使ってください。

      鼻をかんだ後、いっときスッキリしたはずなのに、
      鼻からの吸気が、冷たく感じるような人は、特にそうです。

      “曲がりくねった熱帯雨林”の健康な鼻孔は、
      “スコール雨”が、土砂降りの“アスファルト道路”状態に、
      悪化しますと、単に雨水を解消しても、
      今度は、“潤い” に乏しく、免疫力が低下するものなのでしょう。
      また、すぐさま、反応しないように、
      暖かく思うまで、“10分間マスク”をしてみてください。

      温度や環境が変わる時も、アレルギーが起こりやすくなります。
      体の外が急に変化する時、
      適応反応で、体が緊張して、用心するからです。

      普通の花粉症は、たいがい、現場判断、簡略対処型の
      アレルギー反応です。
      例の “水に流す” の解決法です。

      変化を感じとったら、そこでは、お巡りさんが増えて、
      手に手に 手配書を持って、パトロールに出かけます。
      「何でもないよ、」と 告げてやるのです。
      変化を穏やかにしてやれば、反応が減るハズです。

      鼻は、湿度と温度に敏感です。
      変化に適応してしまえば、多分、問題は少なくなります。

      そこで、マスクをいつも持ち歩き、
      変化の前後10分間だけ、
      途中で、変化を感じたら、わざと鼻をかんでから、
      (服をパタパタ叩くようなものです)
      また、10分だけマスクをつけると、少し楽になります。

      例えば、変化の時、起床時、外出前後、電車の乗降の前後などに、
      10分間だけマスクをするのです。

      つまり、本来の 今 飛んでくる花粉を防ぐためという以外に、
      体の免疫力を上げるためにマスクを使うのです。
      どんなマスクでもいいでしょう。

      免疫力は普通、鈍感にした方が強くなるのです。

      生理反応には、通常、反応レベルと、 
      反応に至るまでの、閾値(しきいち)があります。
      車のハンドル操作の“遊び”のような 部分です。

      例えば、疲れが 激しくなると、集中すべき力は散漫になるくせに、
      音の感覚の鋭さは増し、閾値が小さくなり、
      “音”を感じるレベルが下がります。

      神経が繊細な人は、殊にそうです。
      普段、気に病まない 時計の音や、雨だれの音が、
      大きく聞こえて、眠り辛くなります。
      脳血流の音がこだましたり(耳鳴り)も します。

      こうなると、「火事だ、逃げろ!」の親切な声と、
      時計や 雨だれ音が、同じレベルで意識され、生活に支障が出ます。
      気にかけないで、放っときゃいいんです。
      免疫力は普通、“鈍感にした方が強くなる”のですから。

      これは、変化への適応時間を延ばして、
      “変化” と意識させない方法です。

花粉症の予防方法 その5. 鼻づまりの工夫。、、、。

2010年09月28日

鼻づまりは、複雑系?

  • 鼻づまりは、複雑系?
    • 実際に ばい菌がいたり、あるいは、オーバーに勘違いし、
      防衛軍が引き上げきらないと、鼻づまりになります。
      詰まらせて進入阻止、そこで局地戦、という訳です。

      詰まった上に、鼻水ポタリという厄介な状況です。

      かといって、大きさは違いますが、
      本来の免疫防御の、肺で生き延びられるような、
      細菌や、カビの胞子を無視されても困ります。

      鼻を洗ったり、点鼻薬をうまく使ってください。 でも、
      ブルドーザーで櫛(くし)けずるようなものですから、
      頼り切る以上に、乱用しないこと。
      反って、免疫力が低下して、敏感になるような気もします。

      鼻がつまったら?

      両方の目の間のおでこの骨のちょっと下の柔らかい部分を
      親指と人差し指でつまんで、円を書くようにマッサージします。

      火傷しちゃダメですが、かなり熱い蒸しタオルを
      (おしぼりをレンジでチンでけっこうです)
      目~鼻 に乗せ、枕をし、詰まった方を上にして、
      静かに深呼吸します。少しは、楽になります。

      鼻の下に、メンソレータムをぬるのも、一案です。
      かぶれないように。

      鼻には、効き鼻があって、何時間かで交代しているようです。

      普通の花粉症は、
      例の“水に流す”の現場判断、簡略対処型が中心なので、
      その段階に留めるよう、鼻づまりの工夫が、大事です。
      口で呼吸すれば、
      すぐ、普通のありきたりのばい菌にも、やられます。
      頭重、頭痛も、起こり易くなります。

      漢方も、どちらかと言えば、風邪の漢方や、
      強力に、鼻づまりに効く漢方薬を、用いて、
      鼻づまりの解消が、優先です。
      その後は、花粉症の漢方薬でいいでしょう。

      赤ちゃんや、小さなお子さんの鼻が詰まったら?
      なかなか鼻は、かめませんので、
      少々乱暴ですが、ティッシュで ”こより” を作って、
      鼻の入り口付近を、コチョコチョしてみて下さい。
      大きなクシャミと共に、
      詰まった鼻くそを、プレゼントしてくれるかも、、、。
      ただし、突かないよう、慎重に 気をつけてね。

      スギ花粉は、やがてピークが来ます。
      もうしばらくの辛抱でしょう。
      スギは加工しやすく、木造建築や木工品の傑作素材です。
      高級木材として、木造建築のノウハウごと、輸出したら?

      価値が認められれば、手入れも行き届き、
      今のような 山が泣いている状態も減るでしょう。
      今後の、せっかくの収穫の時期を、生かせればと思います。

花粉症O.K.

 花粉症、アレルギー性鼻炎の漢方薬の話

花粉症の漢方薬の話 その1.

2011年03月01日

  • 漢方薬で、上半身の過剰水を減らそう。
    • 病状の把握には、正常な状態との比較が、欠かせません。
      つまり、花粉症の時と、花粉症でない時、
      または、花粉症でない人とを比べて、
      一体何処が、違っているのか?と、考えます。

      気道は、正常なら、“熱帯雨林の土道(つちみち)”ですが、
      花粉症では、
      “アスファルト道路” の “スコール雨” 状態です。

      事の起こりは、、、
      もう一度、花粉症の始めに戻ります。

      まず、花粉が来ると、パトロール中の、
      微小物対策専門の免疫細胞が気付き、手配書と照合し、
      事件を知らせます。
      すると、周辺の組織が、例の、簡易型の“水に流す”対処を
      始めます。

      けれども、埒(らち)が明かないとなると、騒ぎが広がり、
      免疫認識細胞や、警戒のリンパ球が集まってきて、
      伝達物質をばら撒き、一層わめきたてます。

      それを受けて、中枢も反応し、対処法の炎症信号を指令して、 
      局所の腫脹、炎症熱、血管透過性の亢進、
      そして、水の供給、、、、、と、アレルギー反応が加速します。

      中枢からのシグナルで、リンパや、キラー細胞なども、
      気付き、呼び出されます。でも、大した凶悪犯はいませんので、
      出たり入ったりの野次馬で、“簡易対処”の見物でしょう。

      こうして、
      上半身に、止めども無く水分が供給されます。
      上半身に、過剰水を持つ余力があれば、なおさらでしょう。

      そこで、
      (1). この水の供給を減らしてやれば?、、、
      マラソン中の花粉症は、たかが知れているはずです。

      花粉症の漢方薬の第一の考え方です。

       **過剰水を、汗で出すか?
      例えば、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)です。

       **小便で出すか?
      例えば、苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)です。

      両者の違いは、何処の部位の過剰水に、着目するかによります。
      その人には、どちらが より効果的か? です。

      気道表面部の、分泌細胞~末梢血流~細胞間組織、
      の過剰水を狙って、発汗を中心に、
      解消を試みるのが前者です。

      後者では、もう少し深部の、
      気道組織内部~組織間柔組織~リンパ管~肺、 の過剰水を、
      肺や腎臓にも協力してもらって、小便でも除きます。

      こうして、少し水の流れを、変えてやれば、
      症状が楽になるでしょう。
      洪水警報で、駆けつけた免疫隊も、引き返してくれることでしょう。

      漢方薬が、“上半身の過剰水” を、問題視する理由です。


花粉症の漢方薬の話 その2.

2011年03月04日

  • 漢方薬で上半身の、“冷え”を温め、免疫力を補おう。
    • では、どうしてアレルギー反応が、起こりやすいのか?

      花粉症の人と、花粉症でない人との違いは、気道周辺の、
       *水腫と、それによる
       *“冷え” と、
       *免疫過敏です。

      この “冷え” という概念は、医学では、余り考慮されず、
      馴染みの薄い見方です。

      漢方では、ある病気の、全身に及ぼす影響や、病気の状態理解や、
      患部の病状分析で、“寒熱” というものに注目して、
      治療薬を考えることが、よくあります。

      健康時と比べて、
      その組織、器官に、本来の制御範囲以上に、負担をかけている時は、
      ささやかな “寒熱” でも、問題にします。

      細胞や組織が、正常に働き得る温度(局部体温)を、
      保持できているか?
      それとも、生理反応によって、正負いずれかの応援が、必要な状態に
      なっていないか? です。

      なぜなら、ある時は、
      この“冷え”=エネルギー低下状態が、病気の原因になったり、
      病状悪化の要因になり得ます。
      触れ合う組織のほんの 0.1~0.2度程度の、温度差でも、
      解消を待てず、
      痙攣(けいれん)なり、強烈な腹痛や、頭痛のような症状や、
      また、生理活性レベルの病的変化を、強いるのではないか? 
      と、思われるからです。

      このような考え方は、
      例えば、もっと広く、自己免疫疾患の治療などにも、
      応用が効くものでは、ないでしょうか?
      医療のQOL向上にも、大いに有益と思います。

      ここからは、“ニワトリが先か、卵が先か” の話になります。

      さて、炎症は、炎症熱を伴うものですが、鼻炎では、
      同じ簡易対処型でも、アトピー性皮膚炎や打撲、蕁麻疹と違い、
      熱症状や患部の発赤は、余り目立ちません。

      花粉症の場合は、何処も彼処(かしこ)も、溢れかえらんばかりの
      水浸しです。

      炎症熱は、
      鼻水による、気道の大きな気化熱 のために、奪われます。
      だから、熱症状や患部の発赤が、目立たないのでしょう。

      それどころか、その症状故、
      熱は、この過剰水を体温に保つためにも取られ、
      組織の熱、血管内の熱、いずれも、本来必要な活動エネルギーの
      熱産生すら、おぼつかなく、部分的な、
      気道の熱量不足=“冷え” を生じます。

      そうなると、充分な、平和な、気道の制御力が、低下しがちです。

      肺のほぼ 無菌に比し、気道では、常在菌との、
      監視平衡状態が、絶えずあるのです。

      そして、この“冷え”のため、免疫力が過敏になり、
      病状を悪化させているのではないか?と、考えます。

      また、気道組織の “水腫状態” 自体も、病変と認識されます。
      “ニワトリが先か、卵が先か” の話ですが、
      先の、免疫パトロールの警戒状態になると、思われます。

      免疫の、アレルギー=過剰認識の伏線です。

      免疫力は通常、環境が良好で、
      “鈍感になった方が強化される” のですから。

      漢方薬で、
      気道組織の “冷え”=“寒” を、問題視する理由です。

      そこで、漢方薬も、
      (2).“冷え”を取って、気道を温める漢方。
      先の、小青龍湯や苓姜朮甘湯も、温めて、過剰水を捌(さば)く、
      漢方薬です。

      もっと、“冷え” が、強ければ、
      例えば、麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)です。

      水腫~“冷え”~免疫低下→免疫過敏 ~アレルギー の、
      悪循環解消が狙いです。

      そして、環境を整えながら次は、
      (3).免疫力の強化=鈍感化を図りましょう。

       **炎症浮腫が目立つようなら、
      例えば、
      柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)です。

      冷えて、縮こまった気道は、少しの
      炎症浮腫でも、オーバーに見えるものでしょう。
      先に、
      気道を “アスファルト道” と、例えましたが、
      土道でも、少し変化しているでしょう。
      組織の膜も、栄養分まで流出しないよう、厳戒体勢をとって、
      構えるものです。
      おかげで、気道は、湿度100%か、
      水が引くと、一転して、湿度不足です、、多分。

       **冷えを解消して、気道を温めて潤し、
      免疫力の環境を整備してやりましょう。
      例えば、人参湯(ニンジントウ)です。

      免疫力は通常、環境が整備されたもとで、
      “鈍感になった方が強化される” のですから。


花粉症の漢方薬の話 その3.

  •  鼻づまりの漢方薬って、どうよ?
    • 2011年03月10日

      水の供給や、アレルギー源曝露や、アレルギー反応指令には、
      波があります。
      水が途切れたりして、炎症熱が勝りますと、キラー細胞にも、
      お鉢が回ります。

      花粉のいくつかは、おでこに手配書を貼り付けられ、
      免疫攻撃ミサイルで、縛られ、捕らえられていることでしょう。

      劣悪環境の中で、うずうずしながら、
      冷えて待機中だった、意気盛んな免疫本隊は、そんな花粉や、
      その辺のホコリや、よく知った常在菌までを、
      片端から貪食(どんしょく)し、ごっちゃになって、
      上位の免疫機構に絡め取られ、大きな邪魔者になります。

      鼻詰まりです。

      これは、多分、生体では、よくある、残念な現象なのでしょう、。

      その間も、時々、過剰水が送り込まれ、
      つまった上に、鼻水ポタリの厄介な状態です。

      すると、ちょっと、様相が、変化します。
      今までの ”冷え” 状態のところに、炎症熱に加え、
      更に、鼻づまりによる、“渋滞の熱” までが加わります。

  •  漢方薬を、鼻づまり解消に利用しよう。
    •  ―生体というものは、何であれ
         渋滞は、ロクなことがないなものです、、。―

      漢方薬は、鼻づまり症状緩和を、優先考慮した方が、
      効果的でしょう。

      漢方薬に、ほんの少し、興奮を抑えて、
      冷やす薬草にも加わってもらいましょう。

       **鼻づまりという、邪魔者の排除も考慮すれば、
      少し熱症状が優勢な時は、
      例えば、
      辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)です。

       **炎症が目立ち、“寒熱” の、綱引き状態で、
      鼻づまりがあったり、冷えが少ない程度なら、
      例えば、
      葛根湯加辛夷川キュウ(カッコントウカシンイセンキュウ)です。

       **相変わらず、”冷え” が、強いなら、
      小青竜湯でも、かまわないハズです。

      常用しなくても、一時(いっとき)の、変化球を、使うだけでも、
      効果が増すことでしょう。

      このような考え方は、蓄膿症や、気道のもっと奥深く、
      気管支に及ぶ時、つまり、ぜんそく も、同様に考えます。

      しかし、ぜんそくは、一般に、はるかに症状が過酷なものです。
      アレルギー性が強く、気管支の炎症の程度もひどく、
      もっと強力な、粘い邪魔者の処置も、大問題でしょう。

      けれども、ぜんそく発作の、
      そもそもの、遠因になった環境を問えば、
      漢方薬では、やはり、“過剰水” の問題や、“寒熱” 
      のことも、重視します。

  •  花粉症 漢方薬のまとめ
    • 花粉症の漢方薬を、まとめます。

       **炎症を抑える。
        炎症熱は、放置できる程度か?
        何らかの応援したほうが良いか?

       **“冷え”の補いが必要か?
       
       **過剰水を捌くのは、
        汗か(含む、皮膚呼吸)?
        小便(含む、腎臓など他の内臓機能)か?

       **免疫強化の方法は?  などです。

      そして、そのひと(あなた)の場合は、
      それらの、何処から、どの程度の強さで、対処するべきか?
      という具合に、漢方薬を考えます。

      そして、漢方薬を飲む時は、暖かいもので飲んで、
      体を30分でも温めてくださいネ。
      効果が、倍増しますよ、、きっと。

      追.)
      こういった東洋医学的?な見方や、疾病治療における漢方薬の
      対処法は、全身状態も考慮するものです。
      例えば、
      病変当該臓器と、他の正常臓器との、予定調和=健康維持 
      のためへの配慮です。
      病後も含めてです。

      逆に言えば、一般に、漢方薬の治療には、
      全身の生理作用の協力も欠かせません。
      この視点が、現代医療に対する、漢方の、古くからの提案であり、

      漢方薬が、併用薬としてでも、病気治療のQOLの向上に、
      有益と思える理由です。

 脱線話、能面と蓄膿症

2010年09月18日

  •  能面と蓄膿症の話 その1. 
    • 人間の頭蓋骨は、犬と比べると、突き出た鼻口部を前からひしゃげ、
      大脳が巨大になって、頭上部が膨らんでいます。

      主に、生命や本能を司る部分に比べ、
      四肢の繊細な動きや、知識や知恵、感情、自律神経に
      関係する部分の大脳や視床下部が、異常に発達しています。

      そして人間の頭蓋骨には、眼や鼻の空洞以外に、鼻の周りに、
      特徴的な 幾つかの行き止まりの洞穴があります。

      これが、副鼻腔(ふくびくう)で、鼻の穴にだけ入り口があって、
      鼻の影響を受けやすい場所です。
      この部分にばい菌が住み着いて、かぜなどの時に、援軍を得て、
      暴れだすのが、蓄膿症です。

      この大きなほら穴が、何のためにあるのかわかりませんが、
      このおかげで、
      発達した重い脳でも気道が圧迫されず、
      振動のクッションとなり、
      発声の共鳴箱になり、何より、
      顔面の筋肉の発達を促し、宇宙に誇る多彩な、
      感情表現が
      出来るようになったのでしょう。

      ちなみに、おでこに皺(しわ)は作れますが、頭皮は意のままに出来ません。

      この辺りが、顔と頭の境界です.

  •  能面と蓄膿症の話 その2. 
    • 2010年09月19日

      モナリザの包容力、ダビデの意思、ゲルニカの悲嘆、
      弥勒菩薩の思慮、、、

      一体、人間以外のどの動物に、
      こんなに豊かな表情があるでしょうか?

      恐怖と警戒、その反撃としての怒りは、
      主に、目と口の回りの筋肉を使った広く動物の表情ですが、
      喜び、楽しみ、笑いとなると全身を使えばともかく、
      顔の表情だけでは、ちょっと難しくなります。

      では、能面は?

      能面は、無表情ではありません。
      筋肉が弛緩したものでもありません。

      平和な死後硬直のせいで、悲しみに打ちひしがれても、
      それだけが一抹なりとも和らげてくれる、
      安らかな、威厳に満ちた、死に顔でもありません。

      能面は、
      脳の指令で“ある表情”を発するその直前の状態、
      表情に移る直前の刹那を切り
      取り、普遍化しようとしたものだと
      考えてはいかがでしょうか? 

      つまり、始めから、能面の次の瞬間が喜怒哀楽なのです。

      こうして、観る人は、
      能人の所作に従い、いとも簡単に感情移入でき、
      無の表情に、
      舞われた次の感情の冴えを窺えるのでしょう。


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